花粉症対策~知るべき予防・効かせる治療の勘どころ



花粉症対策に必要なのは、「症状をコントロールする」発想。


花粉症の人は30~50歳代に多く、日本の全人口の16%程度(1988年推計)はいると推定されていますが、季節の変わり目にはいつも去年と同じようなユウウツな気分にとらわれている方も多いことでしょう。


一説によれば、花粉症は19世紀始めころからは確実に存在していたようです(ただし、スギ・ヒノキはほぼ日本固有の木ですので、これらに起因する花粉症もまた日本固有のものです)。

それでもインターネットやテレビのない時代にくらべれば、さまざまな花粉症の情報を入手できる私たちは、まだ幸せと言えるかもかもしれません。

しかしながら21世紀の今日になっても、花粉症を根本的に治療する特効薬は、残念ながらいまだに見つかっていません。



さて、ここでは花粉症とは何か、どんな症状があるかといったことをお話するよりも、これからやってくるであろう花粉症についてすでにある程度知識をお持ちの皆さんがとるべき対策の、基本的スタンスを確認しておきたいと思います。


花粉症に悩んでいらっしゃる皆さんがすでにご存じのとおり、花粉症の本質は、運ばれてきた花粉に皆さんの免疫が反応して起きる、アレルギー・異物反応です。

したがって、原因となるスギ花粉やハウスダストなどのアレルギー物質(アレルゲン)が消えて無くならない限り、完治することはありません。

「花粉症を治す、完治する」ことは、現時点では以下に述べる「減感作療法(げんかんさりょうほう)」が可能性として一番近いところに位置しているにすぎず、しかも覚悟を決めて数年間の治療に向き合わない限り、満足のいく効果も期待しがたいものです。


したがって、現実問題としては「アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)との接触をいかに減らすか」という「状況悪化を食い止めるためのコントロールの発想」が、花粉症対策の基本になるわけです。


加えて、花粉症について基本的な知識を持つにとどまらず「自分の生活パターンに即した行動方針をもっておくこと」が、花粉症対策においてはきわめて大事なことです。


なぜなら、なんら考えないままに花粉症の本格シーズンに突入したり、あるいは自分の生活の実情にそぐわない予防法や治療法で臨んだ場合は、対策の効果が十分に発揮されないだけでなく、対処療法的に求めたサプリや薬・通院費などによる、余分な金銭的出費を強いられることになりかねないからです。



ただし、花粉症とは何か・花粉症の原因となるアレルギーについて、その基本をおさらいしたい方は以下をご覧ください。


花粉症Q&A集 [厚生労働省]


ちなみにネットから花粉症対策の情報を収集する場合、効果があると喧伝されるサプリや対策をわらにもすがる思いで、片っ端から試したくなると思います。


お気持ちはわかりますが、まずは官庁・公的専門機関の掲載情報をきちんと読んで、花粉症対策の基本を身につけてからにしましょう。


数ある対策の中から、自分にあったものをルーティン化する。


花粉症対策の情報は、効果の立証・検証が不十分なものが、ちまたにあふれかえっています。


ヨーグルトがよい、緑茶がよい、マスクはこれがよくて、薬はこれが効くらしい…さまざまな対策が宣伝とともに飛び交っていますが、現時点における公的見解では、これらの対策が「誰にでも効く」という証明までなされてはいないことは注意しておきましょう。


早い話、効果にも個人差があって効かないケースも多いため、高いお金を払って対策グッズを購入する前に、現時点における対策の限界についての知識を身につけておくことが大切です。



また、対策として自分にできることと、できないことを、きちんとわけて考えておいたほうがよいでしょう。

たとえば「花粉の季節だけ北海道に避難する」という方法は、日々の仕事に追われる会社員にとっては、費用面から考えて最初から検討外ですね。


よくいわれる「花粉の多い日に外出を控える」のも、仕事で外回りの多い営業マンやドライバーにとっては、まず無理な相談でしょう。


残業が続く時期は、帰宅後に花粉の除去作業をまめに毎日することなど、やり方を間違えると面倒で、とても続いたものではありません。

この場合は「どうすれば帰宅後に、短時間で効率的に花粉の除去ができるか」を、対策の中心テーマにすえるべきですね。


また特に社会人や学生の方は、花粉症対策だけがきちんとできていればよいわけではないケースも、多々あるはずです。


代表的なのは、花粉症の治療薬の副作用で商談中や会議中、あるいは講義・試験中に眠くなってしまって本業に差し支える…といったことですね。


ドライバーや外回りの営業に従事される方は、運転中に薬が効いて眠くなっては一大事ですし、かといって薬無しではくしゃみの症状が止まらず、やはり運転がしずらくなる、といった問題もあるでしょう。

オフィスでくしゃみの症状が止まらずに近隣の同僚にうるさがられるのではといった心配や、あるいは自身の仕事への集中力が大きくそがれる…、といった問題を抱えるサラリーマンも多いですね。



いずれにしても大切なことは、数ある対策や治療法のなかから、「現在の自分がおかれた状況で、ベストな方法・もっとも効率的で費用のかからない方法は何か?」を探して、その実行が日常ほとんど習慣的にできる「ルーティン作業」になるようにしておくことです。

対策の方向性を見誤らないよう、いまからトライアル・アンド・エラーを経験しておくことが大切です。

いろいろと工夫できるうちに細かい点の修正をしておいて、花粉シーズンの到来に備えるべきです。


花粉症治療のために通院する場合は、数年にわたって同じ専門医に相談ができるよう、自宅から通いやすい病院を選ぶようにしたいものです。

加えて、治療費や薬代がいくらになりそうかをあらかじめ見積もっておき、本格的な花粉シーズン到来前に、花粉の季節の数ヶ月分の「予算計上」をしておく必要もありますね。


対策を日々の生活に即して実践するためのポイント。


花粉症対策の実践上のポイントを、「外出」「花粉の除去」「薬と手術」の三つから述べたいと思います。


まずは、外出の前日の情報収集からスタートします。

日本気象協会厚生労働省環境庁が、専門ページを解説しています。

また、花粉の飛散動向の中長期的な傾向については、気象庁ないし環境省の花粉情報などをみて確認するようにしましょう。


とくに「tenki.jp」や「はなこさん」は、携帯サイトも開設されていますので、日々どの地域でどれくらいの花粉が飛んでいるかについての情報も、チェックしやすくなっています。


財団法人 日本気象協会 (tenki.jp 花粉情報)

上記のような信頼性の高いサイトで日々確認し、翌日のための対策をたてるわけですが、あらかじめ「花粉の多く飛ぶ日」「少ないと予測される日」「どちらとも言えない日」の三パターンくらいにおおまかにわけて、それぞれのパターン別にとるべき対策を決めておくとよいでしょう。


喫煙は花粉症の大敵とされるため、そもそも吸わないのがベストですが、そうもいかない方は、「花粉の多い日は一日×本まで。逆に少ない日は、一日×本までOK」とか、自分なりのルールを変化をもたせてきめておくのです。

また、オフィスに置いておく着替えや替えマスクなどの取り替え日や持参日なども、花粉量にあわせて、一定のパターンを決めておくとよいでしょう。


前日残業で遅く帰った日などは、心の準備が無いと翌日の用意をするのが面倒で、当日の朝にバタバタすることになりがちです。

外出の機会が多い方は、ほとんど考えず無意識のうちに花粉症対策ができるようにするためにも、あらかじめ「対策をある程度パターン化しておく」ことが効果的です。


女性の場合、花粉の飛ぶシーズンは、日々のメイクの時間に花粉対策が上乗せされることになるため、出勤時にバタバタしないよう、花粉症対策メークとしてこのシーズンだけは自分なりにパターン化して決めておくのもよいかもしれません。

化粧にも花粉がついているため、帰宅後すぐにさっとメイクを落としやすくするにはどうしたらよいかについても、この季節は考えておきたいところです。


次にマスクです。

一般論として、ガーゼのマスクよりは不繊布のマスクの方が、花粉をよりブロックするという意味でオススメです。

また顔面への密着度からすると、平型よりお椀型のマスクがベターですので、専用マスクのほうがベターという結論になります。


花粉の除去」については、細かいことを言い出せばキリがありません。

基本対策として、室内の床におちた花粉などをこまめに掃除する、また布団や洗濯の室外干しを控える、といったことが言われています。


長い目でみれば、室内乾燥機空気清浄機高性能の掃除機などを購入しておくことが、帰宅後の疲れた体に日々むち打って家事をすることの負担を考えると、コストパフォーマンス的にすぐれた結果を残すことになります。


フトコロ具合との相談にはなりますが、「室内の花粉症対策では、自動化できるものにはある程度お金をかける」という発想を持っておきたいものですね。


「花粉の飛散が本格化する前の予防的対応」こそが、対策のキモ。


薬の服用については、服用する薬の種類・回数については専門医とご相談いただくことになりますが、とにもかくにも「予防的姿勢を持つこと」が大原則です。


せめて「花粉の飛散が本格化する1~2週間前に、薬の予防投与をしておく」ことが、症状をひどくしないために大切であることをおぼえておきたいものです。

花粉が飛ぶシーズンの初期段階でなんら対策をとらず、本格シーズンに突入してからあわててサプリをとっかえひっかえ買っていたりする人が、案外と多いものです。


花粉症は特効薬でも開発されない限り、基本的に毎シーズンのおつきあいとならざるを得ません。

花粉が本格的に飛び始める前に、「日々の生活で最短時間でできる効果的な予防策」について、専門医にいちど相談しておくことをオススメします。


花粉症の投薬治療法として、現在完治に一番近い位置にいるのが「減感作療法(げんかんさりょうほう)」といわれる方法です。

これは、花粉のエキスを濃度を上げながら何度も注射し、体を花粉に慣らしてアレルギー反応(感作)を減らす方法です。

現在もっとも着目されているのは、これまでの皮下注射エキスでなく、注射の無い舌下投与による「口腔減感作療法(こうくうげんかんさりょうほう)」ですが、これはいまだ臨床試験の段階にあります。


減感作療法の欠点は、効果があらわれるのに長ければ2~3年程度と非常に長い治療期間を要すること、そしてすべての人に治療効果が認められているわけではなく、その有効率も70%程度であることです。

また人によっては、アレルギー反応や副作用を生じるケースもあります。

一方、メリットは通院が数週間に一度間隔でそれほど負担感が強くないことや、健康保険を使えるので費用負担がそれほど重くないことなどです。

日本予防医学協会に問い合わせると、お近くの減感作療法を行う専門医を紹介いただけるとのことです。


最後に手術ですが、鼻の症状が強い人に対してはレーザー手術などで鼻の粘膜を切除するのが基本です。

ただし手術をしても再発の可能性は残るとされており、事前に医師とよく相談して臨む必要があります。




花粉症・アレルギー 関連情報サイト



健康と医療に関する情報サイト



本サイトの情報提供について

本サイトは、花粉症に関わる情報の収集・整理をお手伝いすることが目的です。あくまでこれらに関わる広範な一般的知識と情報提供を行うことを趣旨としており、特定の商品・サービス・企業等の利用を推薦するものではなく、これらの情報提供行為により、何らの責任を負うものではありません。本サイトに登場する関連情報につきましては、ご自身の判断のもと、ご使用・ご利用いただくようお願いいたします。また本サイトの掲載内容は、予告なく変更・中断・中止することがあります。


 © 花粉症対策~知るべき予防・効かせる治療の勘どころ